2009年10月22日木曜日

音楽には宗教的な力がある

夕焼け小焼けで日が暮れて
山のお寺の鐘が鳴る
お手々つないでみな帰ろう
からすといっしょにかえりましょ

誰でも知ってる《夕焼け小焼け》(仲村雨紅作詞、草川作曲)の歌詞です。
これが、宗教音楽と何の関係があるのかって?
では、この歌詞を人生になぞらえてみてください。

「夕焼け」とは人生の黄昏です。
最期を間近にして「山のお寺」で諸行無常の鐘が鳴ります。
そして、みな一緒に彼岸へと「帰ろう」、
さらに、「からす」も含めて
生きとし生けるものも平等に最期の時を迎えようという想いが
自然に胸の底から湧いてくるようになります。

このように仏教的な読み方ができるのですが
ちょっと牽強付会でしょうか?
(この読み方は、宗教学者の山折哲雄さんもどこかで紹介されてます)

けれども、もしお年寄りが、
《夕焼け小焼け》にこうした含みを感じて歌うのなら
それは、死を迎える振る舞いの一つとして、
私たち、あとに続く者は、
ともに歌いたいと思うのです。

私の中で、宗教音楽学とはこのように、
音楽に隠された宗教的な力を明らかにすることで
ひとが心を癒したり、他者と感情を分かち合うことを
促していくための研究でもあります。


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