2009年9月25日金曜日

メンデルスゾーン《エリヤ》

メンデルスゾーンは19世紀の宗教音楽の方向性を決定づけた作曲家の一人です。その彼の功績の一つは言うまでもなく、バッハの《マタイ受難曲》の復活蘇演ですが、その時の演奏会と同じプログラムで同じ編曲がCD化されていて、なかなか興味深いものです。

さて、メンデルスゾーンの宗教音楽の代表作といえば、オラトリオ《エリヤ》でしょう。マズアやコルボの演奏を聴いてきましたが、このところはヘレヴェッヘ盤が気に入っています。柔らかでケレン味のない演奏だから、力強さには欠けるかもしれませんが、歳とともに心に染み入るものを求めるように変化(老化?)している 私にとっては、それがいいのです。

さて、預言者エリヤは、バアル神を信じる人びとが担ぎ出した魔術師と戦います。バアル神とその妻アシュタロテはカナンの人びとの神。旧約聖書を紐解くと、ヘブライの民の歴史は異教と偶像の崇拝、そして神から与えられる罰の歴史でもあります。アシュタロテ像を見て、一神教の神の厳しさに思いを馳せつつ、作品を聴いています。

メンデルスゾーン:オラトリオ「エリヤ」 仏ハルモニア・ムンディ HMC901463 フィリップ・ヘレヴェッヘ指揮 シャペル・ロワイヤル、コレギウム・ヴォカーレ、シャンゼリゼ・オーケストラ、ペリテ・サロマ(Bass)、ソイレ・イソコスキ(Sop)、M.グローブ(Alto)、デルフィーネ・コロット(Sop)、J.M.アインシュレイ(Ten)

1 件のコメント:

torajiro さんのコメント...

☆☆☆データベースのクラッシュで消えたコメントです☆☆☆


1. 菅野茂 wrote:

ここにもコメントするところがありましたね。僕の推薦盤は全部!それぞれが特徴的な良い演奏としているということです。

これと双璧なのがあの「パウルス」。ちっとも質は落ちないですね。無名なのが不公平なくらいです。

更にここではアマ合唱団でよく未完成のオラトリオ「クリストス」も良く演奏されます。

Reply to this comment | 2009年10月3日 @ 07:39
* torajiro wrote:

《パウロPaulus》は序曲から大好きですよ。
例のコラール「目覚めよと呼ぶ声が聞こえ」を元にしています。

《エリヤ》→《パウロ》→《キリストChristus》というという流れは
改宗ユダヤ人であるメンデルスゾーンの信仰やアイデンティティと関わっているようですね。
いつか研究したいテーマの1つです。

Reply to this comment | 2009年10月4日 @ 01:52
2. 菅野茂 wrote:

あるかも知れませんね。
「Christus」は私達の手で完成してみたいですね。

Reply to this comment | 2009年10月4日 @ 03:28
* torajiro wrote:

完成できるほど素材は残ってましたっけ?

Reply to this comment | 2009年10月4日 @ 19:09
3. 菅野茂 wrote:

ないようですね。でも全集版の校訂報告の後についているスケッチなどがある可能性はあるかもしれません。テキストは聖書かな?じゃなければWikiでメンデルスゾーンの「クリストス」を完成させるコンクールでも開けば、より原型に近くなるかもしれません。

Reply to this comment | 2009年10月4日 @ 19:32
* torajiro wrote:

台本はたぶんありますね。聖書を元にした書き起こしのようです。
音楽素材は、少なくとも第3部は絶望的でしょう。
メンデルスゾーンの他の作品を参考にしながら
彼の音楽様式を模倣するしかないようです。

Reply to this comment | 2009年10月4日 @ 20:26
4. 菅野茂 wrote:

模倣でも僕達にとってはやりがいがある仕事ですね。

彼の場合は初期でも後期でもそんなに大きく様式が変わっていませんので意外と学びやすいです。

Reply to this comment | 2009年10月5日 @ 00:38