2009年9月25日金曜日

ヴェルディ《レクイエム》

高校生の頃、モーツァルトの《レクイエム》で宗教音楽に目覚めた後、ヴェルディの《レクイエム》にはまりました。当時は地元の図書館でLPレコードの貸し出しをやっていたのですが、その図書館は日本有数の所蔵を誇っておりまして、せっせと通っては、違う指揮者の演奏を次々に聴いていました。

ある時、古いレコードを借りたのですが、ジャケットから取り出してびっくり。なんと昔懐かしいソノシートのように盤が赤く半透明なのです。これはどうやら、ホコリを呼び寄せる静電気を減らすことと音質を柔らかくするのに効果があるということで採り上げられたもののようでした。

演奏は、1939年のモノラル録音でしたが、私は決してガッカリなどしませんでした。というのはテノールソロのベニャミーノ・ジーリに出逢えたからです。ジーリの声は柔らかで、それでいて張りがあり、その声の美しさの前には、私はただただぽかんとするだけでした。

ヴェルディの《レクイエム》の初演は1874年。その当時から評判になるとともに、「宗教音楽の衣をまとったオペラ」(ハンス・フォン・ビューロー)と批判も受けました。たしかに全曲を通して、オペラ歌手でなければ演奏不可能なフレーズに満ちているのは事実です。でも、それが瑕疵にならないほど、この作品は素晴らしいとしか私には言いようがないのもまた事実です。

彼のアイデアで素晴らしいのは、「怒りの日Dies irae」の箇所が何度も再現され、死の恐怖が全曲を通して楔のように打ち込まれていることでしょうか。ちなみにこのアイデアは、ドヴォルザークの《レクイエム》でも採用されています。

セラフィン盤は1939年録音ということで、著作権が切れていると推察されます。そこでYou Tubeにアップロードされている録音を紹介します。

Verdi Requiem Requiem & Kyrie Serafin 1939 Part 1

残りは、上のリンクから順に進んでみてください。

ジーリの歌う《レクイエム》

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