2009年9月27日日曜日

(1) グレゴリオ聖歌との出逢い

楽譜が配られます。あれ、日本語じゃないや。英語かな? うーん、何て読むんだろ。楽譜も変だ。線が4本しかないぞ。

これが私のグレゴリオ聖歌との出逢い。歌好きの母の影響で、私は小学生の時に合唱団に入りました。初めは世界の民謡などを歌っていたのですが(もちろん日本語)、高学年になって、いきなりグレゴリオ聖歌を歌わされるハメになったのでした。みんな当然すぐに歌えるはずもありません。カタカナで読みかたを練習しながらピアノで音を拾ってもらって次第に音楽が形を現してきます。曲は《アヴェ・マリアAve Maria》、《元后あわれみの母Salve Regina》、《サンクトゥス9番》。ステージでは白いガウンを着て歌い、ちょっと照れくさかったことも思い出です。当時は外国語の歌を歌うこと自体の面白さで心はいっぱいで、きれいだなあと漠然と感じるだけでしたった。

高校生になって、LPレコード(当時CDはありません)を聴き始めましたが、「グレゴリオ聖歌はクラシック音楽の源泉だ」と何かで読み、宇都宮の県立図書館でLPを借りられるので、ガジャール神父指揮のソレム修道院の演奏を片っ端から聴き始めました。LPには楽譜も付いていて、自分の部屋で歌ったものです。その後、大学を退学し、音大に入り直すべく広島の実家に戻って受験勉強を始めましたが、その時に教えを受けたのが、世界的なグレゴリオ聖歌の研究者である水嶋良雄さん(先生)だったのです。

音楽大学というところは私にとって居心地のいい場所でした。講義にまったく興味が持てなかった前の大学とは違って、ほとんど好きなことばかりを勉強していられたからです。水嶋先生のグレゴリオ聖歌の講義もその一つでした。
授業は、水嶋先生の歌で始まります。曲目は季節に応じた聖歌で、学生は、先生の歌を手本に一緒になって歌います。それが終わると全員着席して講義が始まります。その講義の中で、僕は1000年も前に《ドレミの歌》があったことを知ったのでした。

《ドレミの歌》といえば、知らない人はまずいないでしょう。元は、アメリカのミュージカル《サウンド・オブ・ミュージックThe Sound of Music》の有名な曲ですが、この映画の方もご覧になった方が多いはずです。
主人公の修道女マリアが、オーストリア海軍のトラップ大佐の元へ家庭教師として赴き、母親を亡くして久しく音楽を忘れた子供たちに、音楽の基本である階名唱を手ほどきするときの歌が《ドレミの歌》でした。
しかし、このあまりに有名な名曲にはオリジナルがあったとしたら?

そもそもみなさんは不思議に思ったことがないでしょうか。階名の「ド」とか「レ」とか、あるいは音名のAやBはどのように決まったのか。物事には始まりがあります。階名と音名もそうです。その中でも階名は、グレゴリオ聖歌に源があったのです。

さて、「1000年前のドレミの歌」のお話に移る前に、グレゴリオ聖歌を聴いてみてください。グレゴリオ聖歌を聴いたことのない人は、こちらからどうぞ。

Enterを押してページが切り替わったら、ページの一番下、小さな字がごちょごちょしている中からArchivesをクリック。またページが変わるので、そしたらGregorian Chantのリンクをクリックします。すると、いろんなグレゴリオ聖歌のタイトルが出てきます。
手始めに《Requiem(レクイエム)》を聴いてみてはどうでしょう。これがが気に入ったなら、フランス近代の作曲家デュリュフレの《レクイエム》もおすすめです。



映画《サウンド・オブ・ミュージック》(DVD)

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